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承前
《続く》
「それでは、拙者は我が主の元に戻ります」
「ええ。五十六さんによろしく」
「伝えます」
一礼して、侍は背を向けた。
その背を見送りながら、マジックは呟いた。
「……魔物の動きが、変わった……。いったい、どういうことなのかしら……」
予定通り、サバサバの街を放棄してアダムの砦に入ったマジック達は、息をつく暇もなく放置されていた砦の修復に取りかかろうとしていた。
その矢先にもたらされた知らせは、マジックを困惑させていた。
「どうしたの、マジック? 今の、五十六さんところの侍でしょ?」
取りかかったアレックスが、伝令を戻してからも考え込んでいたマジックに声をかける。ちなみにアレックスは修復の指揮を任されて、ヘルメットを被って砦のあちこちに走り回っていた。
「あ、うん。五十六さんからの伝令だったんだけどね」
五十六は、マジックの頼みでゼス王国南部に取り残された国民の救出作戦の指揮を執るべく、アダムの砦に撤退した本隊とは別行動を取り、サバサバの街から真っ直ぐ南下していた。
当然ながら、王国では最北に位置するサバサバの街から南部にたどり着くには、転移呪文を使える魔法使いで無い限りは、敵の魔物軍の占領地を突破していくしかなく、それが出来るだけの力を持つのは五十六の率いる侍軍団だけだったからである。
「……それが、魔物が逃げていくって言うのよ」
「魔物が、逃げる?」
首を傾げるアレックス。
「魔物って、普通自分たちが敗色濃厚になるまでは逃げないものだと思ってたけど」
基本的に魔物達の取る戦術は力押しである。……もっとも、それを実行できるだけの物量があるからであるのだが。
「うん。それが、五十六さん達の姿を見るだけで逃げていくって。それも雪崩を打つように、大群がさーっと」
ゼスチャーを交えながら言うマジックに、アレックスは考え込んだ。
「……誘い込む為の罠、かな?」
「深追いしたところを、ずばっと? うん。五十六さん達もそれは判ってるから、追いかけないで逃げたら無視して先に進む事にしてるって言ってるけど……」
「あるいは、先に進ませておいて、後ろから奇襲する気かもしれないね」
「それも考えられるんだけど、でも、数で上回る魔物が、わざわざ奇襲する必要なんてあるのかな……」
呟いたマジックの前に、魔法将軍が不意に現れた。文字通り、転移してきたのだ。
「マジック殿、リーザス軍の方が面会を求めていらっしゃいましたが、いかがなさいます?」
魔法王国と呼ばれたゼスでは、相手が突然転移してくることは日常茶飯事である。マジックも、驚きもしないで聞き返した。
「リーザス軍の方って、誰よ?」
アールコートやラファリアなら、一々「リーザス軍の方」等という言い回しはしないだろう。そう思っての質問は的を射ていた。
「はい。リーザス軍のクリーム・ガノブレード将軍です。たった今、砦に到着なさったところですが、すぐにマジック殿に面会を求められましたので」
「クリーム将軍? 判ったわ。会議室にお通しして。あたし達もすぐに行くから。それから、アールコート将軍とラファリア副将も会議室に呼んで」
「はっ」
魔法将軍は一礼して姿を消した。マジックは振り返って、アレックスに話しかけた。
「リーザス黒軍が動いたにしては早すぎるわね」
「そうだね。それに黒軍が到着したんだったら、バレス将軍が直接いらっしゃるはずだし……。でも、クリーム将軍っていうのは心強いね」
「まぁね」
頷くマジック。
「クリーム将軍は“大陸の智将五人衆”なんて呼ばれてる人の一人だし」
大陸の智将五人衆とは、リーザス白軍将軍エクス・バンケット、緑軍将軍アールコート・マリウス、ゼス王国のライトニング・カバッハーン、行方不明になっているが、元ヘルマン帝国のアリストテレス、そして彼女、クリーム・ガノブレードである。
ちなみに、この五人が束になっても敵わないと噂されているのが、リーザス王国筆頭侍女にして摂政のマリス・アマリリスなのだが、それはさておく。
「ま、ここでどうこう詮索するよりは、本人に話を聞くのが早いわね」
「そうだね」
二人は頷き合って、会議室に向かった。
会議室のドアを開けたアールコートは、クリームの姿を見て、慌てて頭を下げた。
「あ、あの、お、おはようございます」
「……」
無言でアールコートを見て、軽く頭を下げて見せるクリーム。
一応、リーザスで一軍を預かる身であるアールコートと、将軍とはいえ自由になる軍を持たないクリームでは、アールコートの方が身分は上になるのだが、クリームにはアールコートが士官学校に入る前からヘルマン軍で戦っていたという実績がある。
実は、アールコートの初陣の相手がこのクリームで、この戦いで敗れ、リーザス軍に捕らえられたクリームは、本来なら処刑されるところを「美人だから」というランスの独断によってそのままリーザス軍に迎え入れられたのだった。
とはいえ、男尊女卑の傾向が強いヘルマン軍で、上官を差し置いて軍功を上げていたクリームがこのまま無事にいられたか、というと疑問が残るというのが後世の歴史家達の一致した意見だった。
クリーム自身もそれは承知しており、ある意味彼女を救ったとも言えるアールコートに対しては、複雑な感情を抱いていた。
「ちょっと、何立ち止まってんのよ。さっさと入りなさいよ」
後ろからラファリアに言われて、慌てて脇にどくアールコート。
「ごっ、ごめんなさい。どうぞお先に……」
「まったく、愚図なんだから」
ため息混じりに言いながら部屋に入るラファリア。ただ、その言葉には今までのような嘲笑は含まれていないのを、フレイヤなら喝破できただろう。
そして、クリームに気付いたラファリアは、肩をすくめた。
「あら、クリーム将軍閣下のお出ましですか?」
「ラ、ラファリアさんっ」
慌てて袖を引くアールコートに構わず、ラファリアは腕組みして言った。
「あなたが出てくるとは、マリス殿もまだ随分と余裕があるみたいね」
「……」
クリームは、眼鏡の位置を直しながら言った。
「どうかしら? 少なくともあなた達に任せてはおけないっていうことみたいだけど」
「……」
唇を噛んでクリームを睨むラファリアに、何処吹く風とその視線を受け流すクリーム。そして2人の間でおろおろするアールコート。
と、そこにマジックとアレックスが入ってきた。
「お待たせしました、クリーム将軍。ゼスのマジック・ザ・ガンジーです。……いかがなさいました?」
部屋に漂う不穏な空気に、怪訝そうに訊ねるマジック。
クリームは肩をすくめた。
「いえ。改めまして。リーザス王国特使、クリーム・ガノブレードです。リーザス王国女王、リア・パラパラ・リーザス陛下からの親書を預かって参りました」
そう口上を述べてから、クリームは巻物をマジックに手渡した。
言うまでもないと思うが、この親書、リアの名前こそ使われているが、実際に書いたのはマリスである。
マジックはその封緘も解かずに手を当てると、目を閉じた。そしてしばらくしてから目を開ける。
「そうですか……」
「で、中には何とあったんですか?」
アールコートに訊ねられて、マジックは頷き、一同を見回した。
「とりあえず、座りましょう」
「志津香! 志津香じゃねぇかっ!」
先頭を歩いていたミリの声に、マリアの櫃を乗せた馬車を守るように、その横を歩いていたランは、ずっと俯いていた顔を上げた。
そこにいたのは、間違いなく、戦場でナギと戦い、行方不明になっていた魔想志津香だった。
「や、ひさしぶり……」
「ひさしぶりじゃねぇだろっ! どんだけ心配したと思ってやがんだ!」
ミリは、駆け寄ると、志津香をぎゅっと抱きしめた。
「あいたたっ! もう、痛いわよ」
「あ、悪りぃ」
慌てて腕を解くミリ。
「もう。こっちは怪我人なんだからね」
膨れてそう言うと、志津香はランの前に歩いてきた。そして微笑む。
「ラン、マリアを生き返らせることが出来るわ」
「えっ? 本当に?」
ランは目を丸く見開いた。そして気付く。
志津香の後ろに控えているキャラバンに。
むしろ、そのキャラバンの規模のせいで目立たなかった、その先頭にいた、丸眼鏡の小柄な女性が、ぺこりと頭を下げる。
「お久しぶりです、ミリ・ヨークスさん、エレノア・ランさん」
「あんた、ええっと……」
ミリが、そこで口ごもって、頬をぽりぽりと掻いた。それから小声でランに訊ねる。
「誰だっけ?」
「カフェ・アートフルさんですよ。レディ商会の」
ランが囁き返してから、頭を下げる。
「あ〜、そうだったそうだった。いやぁ、レディ商会は覚えてるんだけどな」
そう言って笑うミリ。
ちなみに、カフェの率いているキャラバン、レディ商会は、いわば移動娼館であり、この世界でも最高級の娼婦達が男性(と、一部の女性)に夢を与えてくれる。そのテクたるや、かのランスでさえ骨抜きになりかけたほどである。
レディ商会の娼婦達は、いずれもどん底の生活からカフェに助けられ、その恩返しにここで働いている者達ばかりである。また彼女たちは武芸にも優れ、揃いの純白の鎧に身を固めた彼女たちレディナイツの働きも、大戦末期の混乱の中で輝いたものである。
閑話休題。
「ちょっと、ミリ」
「いいんですよ。むしろ、わたし的にはその方がいいですから」
苦笑しながらカフェは言うと、ランの背後の馬車に視線を止めた。
「マリアさんは、あの中に?」
「はい」
頷くと、ランは馬車にカフェを案内した。
なんとはなしにそれを見送る志津香に、ミリが尋ねた。
「でもよ、どうしてまたカフェとお前が一緒にいるんだ?」
「いろいろあったのよ。さて、と」
呟くと、志津香はミリに視線を向けた。
「マリアはカフェさんに任せておけば間違いないと思うから、私はもう行くわね」
「行くって、おい?」
「……」
小さく口の中で呪文を呟き、志津香は姿を消した。ミリは肩をすくめた。
「まったく、相変わらず勝手な奴だな、志津香は」
と、ランと何か話をしながら馬車から降りてきたカフェが、はっとして辺りを見回す。
「ミリさん、志津香さんは?」
「あん? なんだか知らねぇけど、後は任せたとか言ってどっかに行っちまったぜ」
ミリが答えると、カフェは顔色を変えた。
「大変っ!」
「どうしたんですか、カフェさん?」
ランの質問に、カフェは答えた。
「……志津香さんは、もう魔法を使える身体じゃないんですよ」
「どういうこったい?」
ミリが訊ねた。
「……魔法は、そもそもこの世界にあるべからざる力です。少々のことならともかく、余りに強力な魔法を使い続けていると、そのうちに身体の方がそれに耐えられなくなり始めます。ましてや、志津香さんは、自分の身体を改造しているわけでもないですし……」
「改造?」
「ほら、魔法使いの中には時々いるでしょう? 増幅器を身体に埋め込んだりしてる人が」
ランが口を挟んだ。そして、唇を噛む。
「ナギだって、そうだったわ。そのナギと、志津香は、魔法では互角だった……」
「つまり、それだけ身体を痛めてたってことか……。なんてこった。俺が気付けねぇなんて……」
ミリは、悔しそうにパシンと拳を手のひらに打ち付けた。それから、カフェに訊ねる。
「で、志津香のやつはあとどれくらい保ちそうなんだ?」
「……もう一度、白色破壊光線を使えるかどうか、です」
カフェはそう言うと、空を振り仰いで、呟いた。
「志津香さん……。どうしてあなたは……」
アダムの砦の会議室では、マジックが、クリームの持ってきたマリスの親書の中身について説明していた。
「さすがはマリスさん、と言うべきね。リーザス黒軍の出動準備を始めたと書いてあるわ。ただし、リーザス最大の軍ゆえに体勢を整えるだけでも数日かかるので、その間だけでもなんとかくい止めてくれ、と」
「え? でも、僕たちがアダムの砦に撤退したって、マリスさんは知ってたの?」
アレックスの疑問に、クリームが答えた。
「マリス殿は、既にそれを予想していたのでしょうね」
クリーム自身も、マジック達ゼス軍がアダムの砦まで来ているとは知らなかったのだが、それはおくびにも出さなかった。
「そうすると、私たちの予想よりも早く、黒軍が来てくれるってことですね」
アールコートが言った。
マジックは頷いて、先を続けた。
「それから、リーザス緑軍の残存部隊と、五十六将軍の侍軍団は、クリーム将軍の指揮下に入るようにとのことです」
「あ、はい……」
「なんですって!?」
おとなしく頷き掛けたアールコートを遮るようにして、ラファリアが立ち上がった。
「五十六将軍はともかく、我々緑軍がどうしてクリーム将軍の指揮下に入らねばならないのですか!? 納得いきません!」
「あ、あの、私は、別に……」
「アールコートは黙ってなさいっ!」
ぴしゃりとアールコートに言うと、ラファリアはクリームを睨んだ。
クリームは睨み返した。
「マリス殿がそう命じたのなら、それは決定事項なのではないの?」
「……」
「あ、命令書は本物よ。細工した様子もないわ」
ラファリアの視線を受けて、マジックは答えた。
「ラファリアさん、こんなところで喧嘩しないでください……」
アールコートに、袖にしがみつかんばかりに懇願されて、ラファリアはため息をついた。
「わかったわよ。わかったから泣きそうな顔をするのはやめなさい」
「あ、ごめんなさい……」
ぱっと離れて、ぺこぺこと頭を下げるアールコートと、むっとした顔で腕組みしたままのラファリア。
ちなみに、アールコートが緑軍の将軍で、ラファリアは副将であって、その逆ではない。
「……ところで、五十六将軍の姿が見えないようだけど?」
そんな2人から視線を逸らし、部屋を見回したクリームが訊ねた。
「あ、五十六将軍は……」
アレックスが、事情を説明すると、クリームは眉をしかめた。
「五十六将軍は我がリーザスの兵。それを私兵のごとくゼスの為に使うとは……。五十六将軍も五十六将軍だ。そのような命令をきく言われもなかろうに……」
「そんな言い方はっ!」
「アレックス」
思わず反論しようとしたアレックスを制して、マジックはクリームに視線を向けた。
「確かにあなたの言うとおりね。責めなら後で私がいくらでも受けるわ。でも、今はそんなことを言っても始まらない。それに……、ゼスでもリーザスでもヘルマンでも、一般市民は一般市民。戦いの犠牲になっていいわけがない。違うかしら?」
「……」
クリームは沈黙した。
別に理論でやりこめられて沈黙したわけではない。現にクリームの頭の中では何十通りもの反論が浮かんでいた。
ただ、それを口に出せなかったのは、その時のマジックの持っていた雰囲気だった。その雰囲気、いや、威厳と言えばいいのだろうか。それは間違いなく、彼女が毛嫌いしている父親の持つそれと同じものだった。
「……と、とにかく、今は今ある戦力でどうするかが、問題じゃないでしょうか」
おろおろしながらもアールコートが口を挟み、クリームは眼鏡の位置を直しながら頷いた。
「そうだな。マジック殿、現状の敵味方の戦力についてお聞きしたい」
「それなら、自分が説明します」
アレックスは、テーブルに地図を広げた。
「……ん」
背中で身じろぎする気配を感じて、かなみは足を止めると、背負っていたメナドを静かに下ろした。
メナドはゆっくりと目を開けた。
「あれ? かなみちゃん? ……ボク、どうして……。ここは、どこ?」
「メナド、私のこと、判るの?」
「うん、当たり前じゃないか。かなみちゃんはボクの親友だもん。あれ? でもどうして……。戦いはどうなったの?」
「……」
「……どうしたの、かなみちゃん?」
かなみは、目元を拭うと、静かに言った。
「メナド……。落ち着いて聞いてね。あなたはリセットに捕まって、吸血鬼にされたの」
「……えっ?」
きょとんとして、それから自分の手を見てみるメナド。
「ボクが……吸血鬼? や、やだなぁ、かなみちゃん。冗談ばっかり……」
「……」
無言のかなみを見て、メナドの表情が強張った。そして、おそるおそる、首筋に手を当てる。
その指先が、二つの丸い傷痕に触れた。
「……そっか」
むしろ淡々と、メナドはそう言うと、穏やかな表情でかなみに視線を向けた。
「かなみちゃん、お願い……」
「嫌っ!」
メナドの言葉を遮るように、かなみは叫んだ。
「絶対、嫌よっ! あたしは、絶対メナドを助けるんだからっ!!」
「無理だよ。かなみちゃんだってそんなことくらい、知ってるでしょ?」
一度吸血鬼になってしまった者を元に戻す方法。それは、その者を吸血鬼にした張本人を滅ぼすこと。つまり、この場合はリセットを倒してしまうこと。
それ以外の方法は、未だに知られていない。
「でも、メナド、あなたを手にかけるなんて……」
「ボクだって、死にたくないよ。でも、こんな風になってまで、生きようとも思わない。それに、このままじゃ、ボクが、かなみちゃんやみんなを襲ってしまうかもしれない。だから、お願い。ボクを……殺して」
吸血鬼は、本人の意思にかかわらず、他人の血を吸わなければ生きていけず、そして血を吸われた者はまた吸血鬼と化す。こうして、吸血鬼は放置しておくと、無限に増えていくのだ。
メナドは、かなみに背を向けて、その場に座り込んだ。そして、叫ぶ。
「早くっ! ボクが、まだボクでいる間にっ!」
「……メナド……」
かなみは、こくりと頷いた。そして、懐から銀製のくないを出して身構える。
「ごめんね、メナド……」
真の吸血鬼であるリセット・ケッセルリンクの使徒である吸血鬼は、そこらにはびこっているような吸血鬼とはレベルが違う。現に、メナドも日光がさんさんと降り注いでいるのに、平然としているのだから。
そんな吸血鬼を滅ぼすには、心臓を聖職者によって聖別された武器、または白木の杭で貫くのが一番早い。
どのような敵とまみえるかも知れぬ忍者であるかなみは、もちろん聖別された武器をいつも持っている。
「……最後に、もう一度逢いたかったな……」
メナドは呟いて、目を閉じた。
「メナドッ!」
悲鳴のような声を上げて、かなみはくないを振り上げた。そして、振り下ろす。
カキィン
微かな音を立て、その刃の部分が消え失せた。
「……えっ!?」
トスッ
メナドの脇の地面に、折られた刃が突き刺さる。
「誰っ!?」
とっさにとんぼ返りを打ってその場から跳びすさって体勢を立て直したかなみは、ふところから出した別のくないを構えて叫んだ。
その耳に、かつて聞き慣れていた声が、久し振りに聞こえてきた。
「ったく。二人とも俺の女なんだから、仲良くしろよなぁ」
「あっ!」
その声に顔を上げたメナドが、信じられないものを見たように、目をぱちくりさせた。
「おう……さま……」
そしてかなみは、心底嫌そうな顔をする。
「……なんで、なんで今頃……あんたが現れるのよ……」
あとがき
こっちも随分間があいてしまいましたが、颱風娘です。
……しかし、肝心の颱風娘が出てこないですなぁ(苦笑)
とうとう御大も出てくるし。
ま、これも、今後があるかどうかはかなり不透明です(笑)
颱風娘の大騒動 その21 01/7/3 Up