「あ、あう……」
das Ende
栞ちゃんの家に入れてもらった真琴ちゃん、毛布にくるまってがたがた震えてる。
栞ちゃんが、お風呂場からリビングに戻ってきた。
「お風呂の用意出来ましたよ、真琴さん」
「よし、行こうかマコピー」
カチャリ
立ち上がった祐一くんの喉に、舞さんが剣を突きつける。……どこから出したんだろ?
「わっ、なにすんだ舞っ」
「祐一、変なことしようとしてない?」
「そんなことないぞっ! ないから剣をしまえっ!!」
「……なら、いいけど」
剣を引く舞さん。ボクはほっと一息。
「それじゃ行こうかマコピー」
「祐一くん、繰り返しギャグは面白くないよ」
「うぉっ、あゆにツッコミを受けるとは……」
なんだかショックを受けて固まってる祐一くんをよそに、栞ちゃんが真琴ちゃんを引っ張っていく。
「ほら、行きましょう」
「あう……」
こくりと頷いて、引っ張って行かれる真琴ちゃん。
一方、佐祐理さんは栞ちゃんのお母さんに挨拶していた。
「すみません、大勢で押し掛けちゃって……」
「いえいえ。栞にこんなにいっぱいお友達がいてくれて、私は嬉しいんだから、いくらでも泊まってくれていいのよ」
本当に嬉しそうな栞ちゃんのお母さん。
と、玄関のドアが開く音と、声。
「ただいま〜」
「あっ、うちの人が帰ってきたみたい。はーい」
返事をしてリビングを出ていく栞ちゃんのお母さん。
うちの人って、栞ちゃんのお父さん?
それじゃ、ちゃんとご挨拶しなくっちゃ、いけないね。
そう思ってると、廊下で声が聞こえた。
「靴がいっぱいあったけど、誰か来てるのかい?」
「ええ、栞のお友達が来てくださってるの。今日は泊まっていって頂こうと思って」
「そうか、それじゃ俺からも挨拶しないとな」
そして、リビングのドアが開いて、背広姿の栞ちゃんのお父さんが顔を出す。
「こんばんわ。栞の父で……おや?」
祐一くんと北川くんに気付いた栞ちゃんのお父さん、そのまま顔を引っ込めちゃった。廊下からまた声が聞こえてくる。
「お、おい、男もいるじゃないか! まさか、栞の……」
「ええ、そうですよ」
「なにぃっ! 認めん、俺は断じて認めんぞっ!!」
「何を言ってるんですか、あなたったら。男の焼き餅はみっともないですよ」
「うるさいっ。栞はなぁ、俺のお嫁さんになってくれるって言ってたんだぞっ!」
「何十年前の話ですか、それは……」
「で、どっちだ? どっちが俺から栞を奪うやつなんだっ!?」
「ソファに座ってる方の子ですよ。床に座ってる子は香里と仲がいいみたいだし」
「なにっ! 栞だけでは飽きたらず香里まで俺から奪う気かぁっ!!」
「ちょっとお母さんっ! 変なこと言わないでよっ!!」
慌ててリビングを飛び出していく香里さん。
「北川くんはただの友達よっ! そんなんじゃないわよっ!! 絶対に違うんだからねっ!!」
「……」
あ、北川くんが泣いてる。
と、栞ちゃんの声が聞こえた。
「あっ、お父さんお帰りなさい」
「おお、栞っ、帰ってきたのかっ。お父さんは寂しかったぞ〜」
「ごめんなさい、ずっとお泊まりして帰れなくて。でも、私にとって重大な事ですから」
「重大な事って、まさか……?」
「はい。祐一さんのお嫁さんになる準備です」
「ががーん」
ええっ!? ちょ、ちょっと、栞ちゃん、何言ってるんだよっ!?
「はぇ〜、栞ちゃん頑張ってますね。舞もこれは負けていられませんよ〜」
ぽかぽか
佐祐理さんにチョップをする舞さんの脇をすり抜けて、ボクはリビングの外に飛び出した。
「栞ちゃんっ、ちょっと待ってっ!!」
「あ、お父さん。こちらは私のお友達の月宮あゆさんですよ」
「えっ? あ、ど、どうも、月宮あゆです」
急に栞ちゃんに紹介されて、慌ててボクは頭を下げた。
……返事がない。
おかしいな、と思って顔を上げてみると、栞ちゃんのお父さんはあらぬ方向を見つめてぶつぶつ呟いていた。
「お、俺の娘が、俺の娘が、俺以外の奴のお嫁さんに……」
「おじさん?」
「もう、本当にしょうがない人ねぇ」
困った顔をする栞ちゃんのお母さん。
香里さんは肩をすくめて、栞ちゃんに尋ねる。
「それで、真琴ちゃんはちゃんとお風呂に入れてきたの?」
「ええ。今体を拭いているところですよ」
と、お風呂の方から真琴ちゃんが顔を出した。あれ? 体にはバスタオル巻いてるだけだ。
「栞〜、他に服ないの〜?」
「えっ? 合いませんでしたか?」
「ううん、着られないことないけど、胸のところがきつい」
「ががーん」
あ、栞ちゃん真っ白になってる。
あれ? でも……。
「真琴ちゃん、あんまりボクとサイズ変わらないじゃない」
「えへへ〜。そう言ったら栞ショックでしょ〜〜」
真琴ちゃん、また少女漫画で憶えたのかな。祐一くんが取り上げようとする理由がなんとなく判る気がするよ。
と、その真琴ちゃんを見て栞ちゃんのお母さんが悲鳴を上げた。
「きゃっ! あ、あ、あなた、耳と尻尾が……」
「えっ? わっ!!」
そう言えば、真琴ちゃん、耳と尻尾出しちゃってるっ!!
ボクは慌てて真琴ちゃんの前まで走っていくと、そのままお風呂場に押し込んだ。
後ろで香里さんがふぉろーしてくれてるのが聞こえる。
「なななに言ってるのよ母さん。そんな耳とか尻尾とか」
「だ、だって今あの子……」
「そんなのあるわけないでしょっ! ねぇ、栞?」
「胸がきつい……」
栞ちゃんはまだ元に戻ってないみたいだった。
あ、いけない。
「と、とりあえず真琴ちゃん、耳と尻尾しまってっ! 早くっ」
「あ、うん」
髪の毛と同じ色の耳をぱたっと寝かせて髪の毛の中に隠すと、先が白くなってる大きな尻尾をくにっと触る。すると、尻尾がふっと見えなくなる。
「……いつも思うんだけど、どうやって隠してるの?」
「うーん、真琴もよくわかんないけど、栞に教えてもらったの。栞はポケットと同じことだって言ってた」
あ、栞ちゃんといえば。
「真琴ちゃん、あとでちゃんと栞ちゃんに謝らないとダメだよ」
「なんでようっ」
「嘘ついたからだよ。嘘ついたら、めっ、だからね」
「……はぁい」
えへへ、ボクもお姉さんしてるよねっ。
ボク達がリビングに戻ってくると、また大変なことになってた。
「なるほど、ご両親は外国に行っていて、今は水瀬さんの家に世話になっているのかね」
「は、はぁ。まぁそうですけど。……おっとっと、すみません」
栞ちゃんのお父さんと祐一くんが並んでソファに座って話をしてる……のはいいけど、その前のテーブルに乗ってるのってお酒じゃないのっ? なんか祐一くん顔赤いし……。
「お、君達が月宮さんと沢渡さんだね。水瀬さんの娘さんになったという……」
「あっ、はい。そうです」
ボクが頷くと、栞ちゃんのお父さんはうんうんと頷いた。
「詳しい事情は知らないが、苦労したんだね、君たちも。まぁ、これからも祐一くんのことをよろしく頼むよ」
……なんで栞ちゃんのお父さんが祐一くんのことをボク達によろしく頼むんだろ?
ボクが首を傾げてると、栞ちゃんのお父さんはグラスを片手に尋ねる。
「ところで、君たちはいけるクチかね?」
「ええっ? ボクはまだ、未成年だし……」
「小学生だし」
変なことを言う祐一くん。……もしかしてもう酔っぱらってるのかな?
「ちがうもんっ! ボク祐一くんと同じ歳だもんっ!!」
「うぐぅだし」
「うぐぅは関係ないよっ!」
「あっはっはっ、仲が良いんだな。ま、栞に焼き餅焼かれないようにな」
ぱんぱんと祐一くんの肩をたたく栞ちゃんのお父さん。
ボクは、リビングの壁に寄りかかって額を押さえてる香里さんのところに駆け寄った。
「うぐぅ、おじさんっていつもああなの?」
「……お酒入るとああなのよ」
「だめーっ、祐一は真琴のなのーっ!」
あ。
ボクが目を離した隙に、真琴ちゃんが祐一くんに駆け寄って、そのまま引っ張った。
祐一くんは機嫌良さそうに笑ってる。
「わっはっは、おいたはだめだぞう、マコピー」
「誰がマコピーよっ!! 真琴には沢渡真琴っていう立派な名前があるんだからねっ!!」
「仲がいいのは結構だぞ。でも祐一くん。君には栞っていう娘がいるわけだからなぁ……」
「やだ、お父さんったら、もうっ」
栞ちゃんは、テーブルを挟んだ反対側のソファにちょこんと座って、ほっぺたを両手で挟んで恥ずかしがってた。
「でも、嬉しいです。お父さんも認めてくれて……」
「ううっ、寂しいが、娘の幸せを願うのも親というものだ。……なぁ、祐一くん。子供を作るなら息子にするんだぞ。娘はいくら慕ってくれても、いずれは嫁に行ってしまうんだ」
「お父さん、そういう発言は最近は女性蔑視だって言われるわよ」
額を押さえたまま口を挟む香里さん。
わ、香里さんっていんてりだ。
……って落ち着いてる場合じゃないよっ。なんかすごく危ない気がするっ。
えーっと、そうだ。こんなとき舞さんや佐祐理さんになんとか言ってもらえれば……。
ボクは慌てて部屋を見回した。
カラカラカラカラ
「……ハムスターさん、かわいい」
「本当に可愛いですね〜」
2人は、部屋の隅にあったハムスターのかごの前だった。
うぐぅ。こうなったらボクが言うしかないよねっ。
「あっ、あのっ!」
「おお、月宮さんもやっぱり飲むかね?」
「えっ? あ、いや、そうじゃなくてですねっ、祐一くんはボクの……うぐぅ」
や、やっぱり恥ずかしいよっ。でも、言わないとこのままじゃ祐一くん栞ちゃんのお婿さんになっちゃいそうだもん。
「ボ、ボクも祐一くんのこと、す、す、すすっ……」
「す? おお、そうだ。おーい、冷蔵庫にスイスチーズがあっただろう? あれとワインを出してくれっ」
「はぁい。でも、相沢さんにあんまり飲ませちゃだめですよ」
うぐぅ。
でも、ボク、ま、負けないっ!
「あっ、お母さん。そういえば、確かこないだ買ったたい焼き、まだありましたよね」
栞ちゃんが台所にいる栞ちゃんのお母さんに声を掛ける。えっ、たい焼き?
「ええ。食べたいならあっためるけど」
「あゆさんがとっても好きなんですよ。ね、あゆさん」
「うん、ボク大好きだよっ」
「そうなの。それじゃ、今からだとちょっとお腹に悪いから、明日の朝にでも出してあげましょうか?」
「それから、真琴ちゃんは肉まんが好きなのよね」
その言葉に、祐一くんを引っ張ってた真琴ちゃんがキュピーンと振り返る。
「肉まんっ!?」
「うん。確か冷蔵庫にこないだ買った残りが……」
「肉まんーーっ」
そのまま台所に突進していく真琴ちゃん。ボクは慌ててその服を掴んだ。
「待って真琴ちゃんっ!」
「なにようっ、あゆあゆっ」
うぐぅ、その名前で呼ばれると、ボクの姉としての威厳がぜんっぜんないよ。
確かにボクの方がちょっとちっちゃいし(ちなみに5センチ低い)、胸もほんのわずかにちっちゃいけど(ちなみに1センチ小さい……うぐぅ)、それでも、ボクがお姉さんなんだからねっ。
「いまここから出て行っちゃったら、祐一くんを栞ちゃんに取られちゃうんだよっ」
「えっ、栞が祐一取るのっ!? そんなの嫌だよっ!」
「そうだよね。だから、今行ったらだめだよっ」
栞ちゃんがじと目でボク達を見た。
「二人とも、人聞き悪いですっ。それにそういう相談は小声でするものですっ」
「おおっ、栞にライバル出現だなっ」
なんだか嬉しそうな栞ちゃんのお父さん。
「これなら、栞が嫁に行かないかもしれないわけだなっ」
「そんなこと言うお父さん、大っ嫌いですっ!! 人類の敵っですっ!」
ぷぅっと膨れた栞ちゃん。栞ちゃんのお父さんが慌てて頭を下げる。
「す、すまん、つい本音が……いやいや、そうじゃなくて……」
「もう口も聞きたくありませんっ」
ぷいっとそっぽを向く栞ちゃんに、大慌ての栞ちゃんのお父さん。
「お父さんが悪かったっ。この通り謝るから許してくれっ!! か、香里、お前からも何か言ってくれっ」
「さぁ、もうそろそろ寝ましょうか」
「寝るのか美坂っ!」
「北川くんは外でもいいのよ」
にっこり笑って言う香里さん。でも目が笑ってない。っていうかオレンジ色っ!
「嘘です許してくださいこのとおりっ」
慌てて土下座する北川くん。可哀想だけど見苦しいかも。
「それじゃ、今日はこれくらいでお開きにしましょう。明日も学校あるんだし」
「おうっ、任せろっ」
いきなりすくっと立ち上がって宣言する祐一くん。
「俺がみんなまとめて幸せにしてみせるからなっ!!」
うぐぅ、喜んでいいの、かな?
と思ったら、そのまま祐一くん、ソファの上にばったり倒れちゃった。
「わっ、祐一くんっ」
「……生きてる」
舞さんが、祐一くんの首もとに手を当てて言った。……って、わっ、いつの間にっ。
「寝てるだけ。息がお酒臭い」
「あはは〜、酔っぱらって眠ってしまったんですね〜」
佐祐理さんが優しく祐一くんの頭を撫でた。それから栞ちゃんに声をかける。
「祐一さん寝かせてあげないといけませんから、お部屋の用意をお願いしますね〜」
「それじゃ、みんな来て。部屋に案内するわね。北川くん、相沢くんをお願い」
「お、おい……」
「お父さんは独りで飲んでなさい」
「……ううっ、寂しいなぁ男親なんて」
と、そこにワインを持って栞ちゃんのお母さんが入ってきた。
「あら、みなさんもう寝るんですか?」
「ええ。お母さんはお父さんの相手してあげてね」
「はいはい」
香里さんの返事に、苦笑しながら答えると、栞ちゃんのお母さんは栞ちゃんのお父さんに話しかけた。
「ほらほら、私がお相手しますからね」
「ううっ、やっぱり最後に残ってくれるのはお前なんだなぁ」
「何を言ってるんですか、あなたったら」
いいなぁ、仲良くて。ボクも祐一くんとああいう風になれるといいなぁ。
「ばったーん」
部屋にもう敷いてあったお布団にばっと飛び込む真琴ちゃん。
みんなで歯を磨いてから、ボク達が案内されたのは、広いお部屋だった。そこにボク達6人分のお布団が敷いてある。
「わっ、すごい。部屋が布団でいっぱいっ!」
「あゆあゆっ」
不意に名前を呼ばれて、ボクは真琴ちゃんに顔を向けた。
「あゆあゆじゃなくてお姉ぶっ」
顔面に何かぶつけられて、そのまま布団の上にひっくり返るボク。
「うぐぅ……、なに?」
「やったやったぁ!」
「ちょっと真琴ちゃん、あんまり騒がな……」
「えいっ」
注意した香里さんの顔面に、ぽふっと枕が命中した。
「あははっ、私前からやってみたかったんです」
笑顔の栞ちゃん。
香里さんはふっと笑った。それから枕を拾い上げる。
「やられた分は、お返しするわよっ!」
「ボクもっ!」
たちまち、部屋の中を枕が飛び交う。
「あはは〜っ、舞もやり……」
ぼふっ
あ、流れ枕が佐祐理さんの顔面に……。
「……あはは〜っ」
「佐祐理を傷つけたら、許さないからっ」
わっ、舞さんが怒ってるっ!!
「いっ、今投げたの栞ちゃんだったよねっ!」
「わわっ、そんなこと言う人嫌いですっ!!」
「許さないから」
ぶんっ
「わっ」
ボクと栞ちゃんは、同時に後ろにいた真琴ちゃんの肩を掴んで前に押し出した。
ぼふっ
「……あうーっ」
「ナイスコンビっ!」
「そうですねっ!」
ポンポンと手を打ち合うボク達を、枕を顔面に直撃されてひっくり返ってる真琴ちゃんが下から睨んだ。
「いつか真琴が復習してやるんだからっ」
「それを言うなら復讐よ」
「あ、あうー……」
香里さんに言われて、真琴ちゃんは言い返せなくて口ごもった。香里さんは苦笑してボク達に言った。
「はいはい、それじゃそろそろ枕投げも終わりよ。寝るわよ」
「はぁーい」
香里さんってこういうところをシメるのが得意だなぁ。としのこうってやつ?
「あゆちゃん、何か変なこと考えてない?」
「な、何にも考えてないですっ!」
うぐぅ、今の香里さん、目がすっごく怖かったようっ。
電気も消えて真っ暗な部屋の中。
うとうとしてたら、襖の向こうから声が聞こえてきた。
「美坂、もう寝たか?」
「……何よ、北川くん。襖開けたら殺すわよ」
「いや、俺だって生命は惜しい」
「ならいいけど。それで、こんな夜中に何よ?」
「……他のみんなは?」
「もう寝てるわ」
……ボクがまだ半分起きてるけど。あ、でも、もう眠くて……よくわかんないや……。
「なら、いいけど。その、聞きたいことがあってさ」
「何よ?」
「……どうして、今日のデート、OKしてくれたんだ?」
「……さぁ。気まぐれってやつよ、きっと」
「そっか」
「……でもね」
「ん?」
「あたし、初めてのデートだったんだから、感謝してよね」
「……美坂……おやすみ」
「おやすみなさい」
その声と一緒に、ボクはそのまま眠りに引き込まれていった……。
チュンチュン
「……うぐぅ」
胸が重くて目が覚めた。と思ったら、隣で寝てたはずの真琴ちゃんの足がボクの胸の上に乗っかってた。
「もう、真琴ちゃんったら」
足を脇にどけて顔を見る。……ホントに寝てるときは可愛いなぁって思う。
カーテンの隙間から白い光が射し込んできてる。
ボクは起きあがって、カーテンを開けた。
シャッ
「……うん、もう朝、ですか?」
栞ちゃんが顔を上げた。目元をこすりながらこっちを見る。
「うん。……栞ちゃん」
ボクは振り返って、栞ちゃんに言った。
「ボク、負けないからねっ」
「私もですよ」
栞ちゃんは、笑顔で答えた。
ボクは窓を開けた。
今日も、とってもいい天気だった。
あとがき
とりあえず、これでおしまいです。
一応、時間的には番外編2よりも前、だいたい水曜日くらいのお話です。とりあえず、日曜より後の話は(書くかどうかは別問題だけど)プール4のために取ってありますから。
何人かから聞かれましたが、なゆちゃんの態度がちょっと変なのは、まだ祐一に対する態度を決めかねてるからです。
最初に「部活があるから」と言ったのが、そもそも祐一と一緒に行くあゆ達に遠慮しての嘘です。で、一人でまっすぐ帰っても暇だし、イチゴサンデーでも食べようと思って帰りに(祐一達にかちあわないように帰る時間をずらしてます)百花屋に寄ったら、また祐一達に出くわしてしまい、逃げてしまったというわけです。なゆちゃんが本気で逃げたら祐一に追いつける筈ないですし(笑)
……という説明をしないといけないのはあんまり喜ばしいことじゃないですが(ホントなら本編中で判るようにしないとねぇ)
今思ったけど、そうなると、この週の話を書いてる限りなゆちゃんは活躍できないんじゃ無かろうか?(笑) やっぱり悲劇のヒロイン?(爆笑)
閑話休題。
Airですが、とりあえずCG100%達成しました。
昨日はああ書きましたが(後編の後書きね)、あの後あちこちのサイトとかを見て回って、ちょっと解釈が変わりましたね。
もしかしたら書くかも(笑)
ま、希望者がいれば、ですけど(爆笑)
【注】この後書きは、観鈴SS書く前に書いたものです(笑)
では、次は……ええと、とりあえず3人娘の家は全部回ったから、番外編も打ち止めだなぁ(笑) ま、忙しくなければ何か書くでしょう(笑)
自分でSS書く、という人も読んでくださっていると思いますが、そういう方々にちょっとお聞きしたいのですが、SSのタイトルってどうやってつけてます?
いや、タイトルつけるのって非常に苦手なもので(苦笑)
プールに行こう3 番外編3(完結編) 00/9/10 Up