新世紀桜に浪漫の嵐!?

 

第三話 「見知らぬ医務室」

 

 

written  by  tatsu2号機

 


 

 

 

「ところでさくらくん、帝劇にいるみんなは元気にしてるかい?」

大神は、背負っているシンジをちょっと担ぎ直してさくらに言った。

「ええ、風組のみんなは劇場にいますけど私とアイリス以外の花組の隊員はみんな出かけてるんです。」

「うん、お兄ちゃん寂しいかもしれないけどアイリスがいるから大丈夫だよね〜♪」

「それに皆さん、すぐに戻ってくるって言ってました。」

「そうだね、まぁみんなにはすぐに会えるみたいだし、アイリスもさくらくんも元気そうで何よりだよ。」

大神はそう言って、ニコッとさわやかな笑顔を浮かべていた。

 

「おい大神・・・・・・俺はどうでもいいのかよ、薄情な奴になっちまったんだな・・・・・・・・・」

そこには肩をがっくりと落した米田がくらい空気を纏っていた・・・・・・・全身から寂しさが滲み出ているようだ。

「そ、そんな事ないですよ支配人!何言ってるんですか。」

大神は大慌てで否定した。

「あっはっはっは・・・・・・冗談だよ、冗談。やっぱりおめぇはからかいがあらぁ!!」

米田はさっきのくらい表情から一転して一気に明るく豪快に笑った。

その演技力はさすがに劇場の支配人をやっているだけのことはある(笑)

 

 

そんな会話をしているとあっという間に帝劇の入り口の前に到着した。

「大神さん、大帝國劇場に着きましたよ、その前にちょっとここにいて下さいね。」

さくらは、そういってアイリスを連れて入り口にたった。

 

「「大神さん(お兄ちゃん)、お帰りなさい!」」

 

 

『おかえり』・・・・・・・・その一言は大神にとってとても嬉しかった。

自分の帰りを待っていてくれる人がいる・・・・それがとても嬉しかったのだ。

 

「ああ、ただいま・・・・・・」

感極まって涙が出そうになったが、何とかこらえて大神と米田も劇場の中に入っていった。

 

 

 

 

「皆さんお帰りな・・・・・・・あっ!!大神さんじゃないですかっ!!」

そう言って少女は、大神達にかけ寄ってきた。

「やあ、椿ちゃん久しぶりだね。」

椿と呼ばれた少女・・・・・

この帝劇の売店の売り子でいつも元気で明るい女の子だ。帝國華激団での主に輸送の任務を行う風組の隊員の

一人でもある。

動きやすそうな朱色の半被を着てて、帝劇のでは売店の売り子をしていていつも明るい。

肩まで切りそろえた黒髪とそばかすが元気さをひきたてているようだ。

 

「はい、お元気そうで何よりです。ところでさくらさん、あの大きな音の原因が分りました?」

「いえ、詳しいことはわからなかったんだけど怪我人が一人いたから保護したの」

「怪我人?」

椿が首を少しかしげている・・・その様子が可愛らしい。

「ああ、この娘がその爆発の中心地で気絶していたんだ。所々怪我もしてるし、放っておけないからね。」

そう椿に説明して、自分の肩越しにシンジの様子をみた。

埃で少し汚れているが、苦しそうな表情はしていなくて・・・・・・むしろ安心しきったような柔らかい表情を

浮かべていた。

その表情に大神は目を奪われてしまった。

「そうなんですか・・・・・・すっごくかわいい人ですね〜。」

椿も、素直な感想を言っていた。

「・・・・・・・・大神さん、その子を早く手当てしなくてもいいんですか?」

さくらが、大神をジト目で見ていた。

「そ、そうだったね。じゃあ、医務室に連れて行くから・・・・・・・・医務室って地下になったんっだよね。」

「はい、そうですよ。」

「ねえねえ、さくらぁ、あの準備しなきゃ!」

「そうだったわね、急ぎましょう。」

問いには椿が答えてくれたが、さくらたちはなにやら小声で話している。

しかし、大神には聞こえていなかった。

「じゃあ大神さん、その子の手当て宜しくお願いしますね。」

そういって、さくらとアイリスは控え室がある方に走っていった。

「どうしたんだ二人とも急に慌てて・・・・・・・?」

大神は呆然と言った感じで呟いてしまった。

「まあ、そりゃ後からのお楽しみだ!それより大神、12:00に支配人室に出頭を命じる。」

米田は、帝國華撃団・司令としての顔で大神にそう告げた。

「はっ!了解しました。」

「うむ、打てば響くような良い返事だ。じゃあその子の手当て、頼んだぞ。」

そういって、米田は支配人室に足を向けていってしまった。

 

「じゃあ椿ちゃん、この子の着替えをお願いできるかな? さすがに俺がやる訳にもいかないしね。」

「はい、わかりました。先に医務室にいっていて下さい。私は着替えを持ってきますから。」

「ああ、お願いするよ。」

大神は、そういって医務室にむかった。

 

地下に降りると、結構ひんやりとしていた。

(結構な改装があったんだな・・・・・・)

大神はあたりを見回して帝劇の改装に少し驚いていた。

(え〜〜っと・・・・・・・医務室は・・・・・・ここか)

医務室のドアを開けると、そこには消毒液や薬の独特の香りがほのかに漂っていた。

「あまりこの匂いは好きじゃないな・・・・・・・まあ、好きになろうとも思わないけどね。」

大神は、独り言を呟いてシンジをベッドにゆっくりと下ろした。

(しかし・・・・・・何故こんな子があんな所にいたんだ?)

タオルを水でぬらしながら大神は考えていた。

(それに、この髪・・・・・・・銀色?いや、蒼銀か・・・・・・・。こんな髪の色は初めて見たなぁ)

そんな事を考えながら大神は濡れタオルで埃で汚れてしまっているシンジの顔を拭いた。

 

 

「う・・・・・・・ん・・・・・・」

不意にシンジから小さな声がしたため、大神は少し驚いてしまったが何とか持ち直した。

「気がついたのかい?よかった・・・・・・・」

ゆっくりとシンジのその瞼が開いて紅の・・・・まさにピジョンブラッドとも言える紅い瞳が大神を見つめた。

「あの・・・・・スイマセン、ここはどこなんですか?」

上体を起こして弱々しい声でシンジは言ったが、大神はその真紅の瞳に見つめられて返事が出来なかった。

 

 

 

「大神さ〜ん、あの女の子気がつきましたか?」

そこへ、医務室のドアが開く音とともに椿が室内に入ってきた。

しかし、大神はその声にも反応しない・・・・・・・いや、出来なかった。

なぜなら、まだシンジの視線が大神から離れていなかったから。

「あっ!気がついたんですねっ。よかった〜〜。」

そう言いながら、椿もシンジの側に近づいていったときに視線が外れて、大神はやっと自我を取り戻した。

「あれ・・・・・・・俺、どうしちゃったんだ・・・・・?」

「どうしたんですか大神さん?急にボーとしちゃって・・・・」

大神は、首をブンブンと横に振った。

「あ、すいません。助けて頂いたみたいで・・・・・ところで、ここは何処なんですか?」

「ああ、ここは銀座の大帝國劇場で、その医務室だよ。」

「はぁ・・・・・・・・でも、銀座ですか?」

(銀座ってセカンドインパクトの影響で海の底に沈んじゃったって歴史で習ったけど・・・・・・まあ、同じような地名は結構あるし・・・・・・)

「そうだけど・・・・・ところで、痛むところはありませんか?」

椿が心配そうにシンジの様子を見ている。

「いえ、特に痛いところはないです。本当にありがとうございます。」

(まあ、いいか・・・・・・しかし、ここは何県の銀座だろう?)

シンジは、器用にも考え事をしつつ椿に満開の白百合が背景に咲き乱れんばかりの微笑みと共にお礼を言った。

「わぁ・・・・・・・」

椿はその微笑みに見とれてしまったらしい・・・・・・頬を“ポッ” と赤く染めてぼぅっとしてしまっている。

さすが、第十八使徒リリンの完全体となったシンジ君。(何がだ!?)

もう既に一人の少女を無意識の内骨抜きにしてしまった・・・・・相変わらず罪作りな少年である。

「ところで、君は何であんな所に居たんだい?」

先ほどのシンジの視線から逃れて、再起動を果たした大神は先の爆音の原因を調べようとシンジに尋ねた。

(うっ・・・・・・・・空から落ちてきましたとは言えないしなぁ・・・・・・・)

シンジは、少し考えたがすぐに彼のリリンとしての頭脳が完璧ないいわけを考え出した。

「はい、満開の桜が奇麗だったのであの丘から眺めていたんです。あそこって、人が少ないから落ち着いて花を眺められるかなと思って・・・・・そしたら、急に何かが光って・・・・・・」

「そうだったのか、それは災難だったね。」

「はい・・・・・その後のことは、ほとんど何も覚えていないんです。」

(・・・・・・何とか乗り切ったかなぁ・・・・・・・)

シンジは内心ビクビクしながら大神の様子をうかがった。

「あ!そういえば、自己紹介がまだだったね。俺は大神一郎、この劇場で働いているものだよ。」

「あ、はじめして・・・・・・・・僕は碇シンジっていいます。」

「・・・・・・・シンジさん?珍しい名前だね。」

「そうですか?普通の名前だと思いますけど??」

「いや、だって君女の子でしょう?」

大神は、まじめな顔でシンジに言った・・・・・・が、シンジはまさかそんな事を言われるとは思っていなかったので固まってしまった。

「・・・・・・・・・大神さん・・・・・・・僕、男ですよ。」

(まさか加持さん以外の人にこの台詞を言うことになるとはね)

「は?・・・・・・・・・・・」

大神は、またもシンジの視線に捕まって固まってしまった。

 

 

 

「お〜い、椿ぃ〜〜〜!どこに居るの〜〜?」

 

 

一階の方で誰かが椿を呼ぶ声があったので、椿は、はっと再起動を果たした。

「あっ、誰か呼んでますっ、じゃあこの子の着替え、ここに置いておきますから後は宜しくお願いしますね。」

そういって、椿はもってきた浴衣を机の上において医務室から出ていった。

 

「あ、あぁ、椿ちゃんも頑張ってね。」

大神も、その声で我に返った。

「で、君は本当に男の子なの??俺には女の子にしか見えないのだけど・・・・」

「・・・・・・僕の何処が女の子なんですか?」

シンジは少々むっとして大神にきいた。

「え?だって・・・・・・・」

大神は言うより、自分で確認してもらおうとシンジに手鏡を渡した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シンジは自分の姿を見て絶句してしまった。

(何で僕がこんな姿になってるの!?これじゃ、まるっきり女の子じゃないか!)

シンジが驚くのも無理はない、なぜなら今までのさくらたちの心理描写中に出てきたように彼は使徒化により、

 

蒼銀の髪透き通るような白い肌真紅の瞳

 

という神秘的な容姿になっている上に、もともとの女顔がさらに引き立てられて、

 

まさに、地上最強の美少女といっても可笑しくはないほどのものになっていた。

「・・・・・・あの二人、やってくれたね・・・・・・」

「え?どうしたんだい?」

大神は、明らかに様子がおかしいシンジが少し心配になった。

「いえ、何でもないです。ところで、今日は何月何日です?」

(性別はもうどうでもいいとして・・・・・サキエル襲来まで・・・・・・あと、どれくらいあるんだ?)

「ああ、今日は・・・・・・」

そういって、大神は壁に書けてあるカレンダーを見た。

そこには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

大正14年       4月6日

 

 

とはっきりと書かれていた。

「ああ、四月の六日だよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シンジは、それを見て硬直してしまった・・・・・・・・・

「シンジ君?」

大神が心配そうに声をかけるがシンジからは反応が無い・・・・・・

(大正14年?・・・・・・・

え〜っと、たしか1925年だよね・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・2015年じゃないの!?

 

「なんだってぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 

 

帝都の青空に・・・・・・シンジの絶叫が響いた。

 

 

 

 

第四話に続く


 

あとがき

 

・・・・・何とか書き上げましたよ、第三話を。

ここでの風組の登場は高村 椿さんだけです。

まあ、帝劇三人娘なので由里とかすみにも近い内出ていただきますが・・・・・

しかし・・・・・エヴァとサクラの混合ってけっこう難しいですね。簡単かな?と思っていたんですが・・・・(汗)

次回はもっと良いものを仕上げようと思います。

では、こんな稚拙な文を最後まで読んでいただいて有り難うございました。

 

 

 

カヲル「ふっ、あとがきまで文にまとまりがないね・・・・下手ってことさ・・・」

 

レイ「・・・・仕方がないわ、だって作者が下手だもの・・・」

 

シンジ「それって・・・・確かにそうだけど言い過ぎだと思うな・・・・二人とも・・・(汗)」

 

作者T「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん・・・・・・・(ダダダダダダダダ)」

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・逃げたね(わ)・・・・・・・・・」」」