僕の胸の内で蟲が蠢く

 

壊せ、殺せ、犯せ、亡ぼせと

僕の胸の内で蟲が囁く

 

 己の欲望のままに奔り、力を揮い、紅く身を染めろと

 

でも何故だろうか?

 

 其れを望んでいる僕がいる

 

 其れを受け入れる僕がいる

 

此れが・・・

 

此れが・・・僕の・・・狂気・・・なのか?

 

それでも良い

 

僕は受け入れよう、此れが僕なんだから

 

ねえ?

 

君は・・・自分自身の闇を受け入れる事は・・・出来るかい?

 

 


新世紀EVANGELION

 

〜紅き運命〜

三つ目の血玉「狂気」

 

 


〜NERV内、リツコ研究室〜

 

部屋にはキーボードを叩く音だけが響き、それ以外の音は存在しない、それに時たまカップからコーヒーを啜る音が聞こえるだけだ

リツコは彼女なりに今日の戦闘を解析しているのだが・・・正直分からない事だらけだった

唯一つ、現段階で分かっている事と言えば・・・

『我々は無力である』事、此れだけだ

画面を数分見つめ、再びキーボードを叩き、また画面を見つめる・・・この作業を彼女はこの数時間、終わる事を知らないかのように続けているのだ

だが・・・

「・・・」

遂にその手が止まる時が来る・・・

「・・・で?何時まで其処にいる積もりなのかしら?」

そう呟きながら椅子ごと回転し振り向く、其処には先程からずっとリツコの作業を沈黙を保ったまま見つめていたミサトの姿があった

「何時まで・・・か、分かってるんでしょ?」

無表情に語るミサトをなるべく見ない様にしながら答えるリツコ

「使徒とスターチルドレン達の戦闘の事?其れは今解析中で未だ・・・」

「その事じゃないわよ!!!」

だん!!

寄り掛かっていた壁を叩き、その反動を使ってミサトは体制を整え、リツコに詰め寄る

「あいつ!!あのサードチルドレンが事についてよ!!私の事を『MARIA』が如何とか・・・いったい如何いう事よ!!」

鼻息荒く、後数cm.で触れるほどの距離まで近づいて喚くミサトからリツコは目を逸らしながら口を開く

「・・・悪いけどミサト、此れは関係者とSランク以上の職員にしか明かせない内容なの・・・だからAランク職員の貴方には・・・ごめんなさい・・・」

それだけ言って口を噤む、此れにはグッと詰まるミサト、いくら破天荒な彼女も一応は戦自から出向している軍人だ、階級に対する絶対服従が染み込んでいる、無論命令に対してもだ、暫く拳を握り、唇を噛締めていたがふっと力を抜くと溜め息と共に諦めの表情を見せた

「そ・・・ならしょうがないわね・・・ならリツコ」

「・・・何かしら?」

「なら此れだけは教えて・・・此れは・・・一体何なの?」

そう言って彼女が指差す先にはリツコの前のディスプレイがあり、其処には今丁度ある者が映し出されていた、シンジが呼び出したと思われる黒い異形・・・

「この・・・『JUSTICE』ってのは・・・何?」

「・・・」

「・・・」

沈黙が再び部屋を支配する、その沈黙を破ったのはリツコの方であった

「・・・エヴァよ・・・本当の意味で一番最初に作られた・・・」

「んなっ!!??」

絶句するミサトを他所にリツコは説明を続ける

「エヴァも・・最初からチルドレンと言った子供をパイロットとする事は前提としてなかったわ・・・人道的立場と言う点からもそうだけど兵士として子供は余りにも脆くて壊れやすい・・・だから最初エヴァに求められた物は自分で思考し、使徒と戦う力・・・本能のままに使徒を狩る存在としての能力が求められたの、そうなるとエヴァは巨大である必要は無いわ、むしろ小型で小回りが利き、相手が対応出来なくなるような速さで接近、排除、此れが理想とされたの・・・」

「・・・」

「そしてこのエヴァ・・・『JUSTICE』が完成したわ、でも此れは我々の予想を良い意味でも悪い意味でも裏切ってくれた・・・ミサト、貴方は十年程前、長野付近にあったNERVの前身であるゲヒルンの秘密研究施設が閉鎖されたのを知っているかしら?」

「え、ええ・・・確か反対派のテロ攻撃を受けて施設は全壊、そのまま閉鎖されたって・・・まさか!!」

「そのまさかよ・・・この『JUSTICE』は其処で産まれ、そして・・・暴走した・・・」

「・・・」

「警備員を含む約150名が死亡、救援と『JUSTICE』停止に送り込まれた部隊もかなりの大打撃を被ったわ、でも・・・」

「でも?」

詰まるリツコを促すミサト

「・・・結局我々の力では止める事は出来なかったわ・・・」

「!!ええ!!??で、でもあいつは現に何処かで封印されてたんでしょ!!??」

「そうよ、ほぼ廃墟と化した研究施設のど真ん中で彼は突然眠りについた、全ての機能を停止させて・・・いわゆる仮死状態ね、でもあらゆる攻撃的な接触は受け付けない・・・せいぜい今封印していた場所まで運ぶのが精一杯だったの・・・」

「でも奴は今サードの横に佇み、動いている・・・その封印場所は何処で知ったのかしら?」

「さあ?ただNHの日本支部局長はうちの司令を凌ぐほどの切れ者よ?ある問題が無かったら此処の副司令くらいにはなっていたかも知れない・・・」

「そう・・・」

それだけ言うとミサトは踵をかえし、部屋から出ようとする

「もう・・・良いの?」

「ええ・・・もう聞きたい事は全部聞いたから・・・私は私に出来る事をやるだけよ・・・」

問いかけるリツコに苦笑で答えてミサトは出て行った、後に残るリツコは溜息をつき、ディスプレイへと向き直る、少し考えた後彼女はキーを叩き、あるデータを表示した

「・・・御免なさいミサト・・・全てを知ったら貴方は私を許してくれるかしら?・・・許してくれる訳無いわよね・・・此れだけの事をしてるんですから・・・」

 

 

PROJECT:CODE『JUSTICE』

 

目的:人間を核とし、それにアダム細胞を埋め込み制御可能な戦闘生物を創り出す事

 

第一被験者:反ゲヒルン組織のスパイ

 

経過:アダム細胞を移植するも被験者が耐え切れず肉体が崩壊、死亡

 

以後、この事例が成功例まで97例続く

 

第98被験者:葛城ケイジ、葛城ミサトの父親であり、セカンドインパクト後南極にて瀕死の重傷を負っている所を発見され、回収、この計画に使用される事になる

 

経過:アダム細胞移植後、1週間は経過は順調、恐るべき速さで傷が回復、しかし意識は不明のまま

一ヵ月後、意識回復、しかし既に葛城ケイジとしての意識は無く、周りの機材や金属製のベッドを使用して外殻を形成、破壊行動に出る、研究所内全ての人員を殺害し、救援隊にも多大な被害を及ぼす

そのまま逃亡を図るように見えたが突如活動を停止、しかし攻撃的外部接触は全て微弱なATフィールドで防ぐ為破壊は不可能と判断

 

結果:新たに作られた封印施設へ搬送、厳重な監視の元、『JUDECCA』にて封印を決定今に至る

 

 

此れが今までのデータ、しかし今日、此れに新たな一行が増える事になった・・・

 

 

現在:サードチルドレンたる碇シンジと共に行動中、原因は不明

 

 

リツコは首を振る、分からない、余りにも不可解な事が多過ぎる、ふと、今出て行った親友の事を思い、彼女は身を震わせた、彼女がこの事実を・・・そして『MARIA』について知ったとき如何いう行動に出るのか?出来れば余り考えたくない事柄だった

「・・・情け無い話ね・・・この仕事についた時に感情は捨てた積もりだったのに・・・」

フッ、と軽く己を笑いながら彼女は再びディスプレイに今日の戦闘を映し出す、そして全ての思いを振り払う様に解析に移った、そう、魔戦とでも言うべき物を・・・

 


 

「このパターンは・・・!!!コード『JUSTICE(ジャスティス)』!!!??そ、そんな・・・封印されている筈の第一世代です!!!」

驚きを隠せ無い者達を嘲笑うかのように其れは雄叫びを上げ、日の光の元に現れた

シンジはそっとマユミを自分の後ろに降ろして『JUSTICE』に対して軽く合図する

彼の意思を汲み取ったか『JUSTICE』は両手を胸の前で一瞬交差させ、更に足も縮めると、次の瞬間に其れを力の限り伸ばす

「!!『J』に強力なATフィールド反応感知!!凄い勢いで広がって行きます!!」

「範囲50m!!・・・100!!・・・150!!・・・200!!第三使徒、『J』のATフィールド範囲内へ!!」

「『J』のATフィールドによって使徒のATフィールドが中和!!・・・いえ、そんな生易しいものじゃない!!侵蝕・・・消滅して行きます!!」

其れを確認するとシンジはニィと笑い、使徒へと向かって行く

「サードチルドレン、使徒に接近!!」

使徒も負けじと目から光線を放ち、パイルを放つが如何せんサイズが違う上にシンジの動きについて行けず、尽く掠りもせず無駄弾に終わる、シンジは使徒の足元まで行くと跳躍し、人で言うと胸の当たりに張り付いている白い仮面まで飛び上がり、そして

「なっ!!??し、使徒を!!??殴ったぁ!!!!!!????」

そう、拳をもって力の限り打ちすえたのだ、使徒はその一撃を受け、仰け反り、体勢を崩す、そして後ろのビルに突っ込み轟音を立てて仰向けに倒れる

シンジは一度着地するとそのまま跳躍、次に使徒の殻・・・紅い珠の上へと降り立つ、そして・・・

「サード、コアに打撃開始!!そ、そんな馬鹿な・・・コアに罅が生じています!!に、人間技じゃない・・・」

シンジが破壊に対する歓喜に打ち震えながら更に更にコアに拳を叩きつける、そして叩き付ける度に罅は増えて行く

 

 


〜アメリカ、デトロイト〜

 

「まずったぜこりゃあ・・・爺もとんだガサネタ掴まされやがって・・・」

そう呟くと男は両手に構えたマシンガンを掃射する、その銃口から飛び出すのは銀の弾、そしてその標的は当然ヴァンパイアだ

彼の名はブレイド、ランクAのヴァンパイアハンターだ、今回はとある廃屋をヴァンパイアが住処にしているとの情報を相棒であるウィスラーが聞きつけ、こうやってブレイドがその殲滅に向かったのであるが・・・

一言で言うと「罠」だった、廃墟の地下室・・・今ブレイドが戦っているおよそテニスコート二枚分ほどの広い空間だが・・・其処に辿りついた途端入り口に鉄格子が下り、薄い明かりが点いた、其処で待ち伏せていたのはそれぞれナイフや斧、剣で武装していた50人以上のヴァンパイア達だった

彼らはこうやってワザと偽の情報を流し、其れを嗅ぎ付けたハンターを抹殺して来たのだ、ヴァンパイアの方もハンターに賞金をかけていると言うのだからこういう事態も多々あるのだ、だが今回はブレイドにとって部が悪いものだった

情報では存在するヴァンパイアは大体5,6人、多くて10人程度と聞いていたため其れほど装備をして来なかったのだ、よって17人を灰に還した所で全ての弾薬は尽きた

「へっへっへ、ご高名なブレイド様も此処まで来ると流石にお辛いようで・・・」

その場にいるヴァンパイアのボスであろう男がブレイドに話かける、先ほどから仲間の後ろに隠れ、指示するだけで何もしてこなかった男だ

「ぬかせ滓が、貴様らなぞ剣と拳で十分だ」

ブレイドはそう言い放つと背中に刺した剣を引き抜き、構える

「おお怖い怖い、確かに此れだけ人数を集めたが流石にあんたを倒すには足りねえだろうなあ・・・だがよ・・・此れならどうだい!!」

彼はそう叫ぶと己の後ろにあった物にかけられていた黒い布を引き剥がす、其処には

「!!爺!!」

「ぶ、ブレイドか・・・」

口の端から血を垂らし、痣だらけのブレイドの相棒・・・ウィスラーが縛り付けられていた

「な、何で手前が此処に・・・」

「お前が出た後・・・こいつ等が集団で襲って来やがった・・・この様子だと俺に情報を寄越した奴も・・・グルか・・・」

そう呟くウィスラーの頭髪を掴み、ぐいと顔を引き起こしながらヴァンパイアはブレイドに語りかける

「まあこういう訳だブレイド・・・おとなしく剣を捨てて貰おうかア?」

「くっ・・・」

「ブレイド!こいつに構わず・・・グッ!!」

「爺は黙ってろよオ!!」

「止めろ!!・・・分かった・・・」

叫ぶウィスラーをヴァンパイアが殴りつけるのに耐え切れず、ブレイドは剣を捨てる

「ひゃっひゃっひゃ!!天下のブレイド様もお仲間が捕まったとなるとからっきしだなあ!!まあ良い、大人しく剣を捨てたご褒美に・・・」

そう言うとウィスラーに向き直り

「爺が死ぬ瞬間を見せてやるぜエ!!!!!!」

拳を振り下ろす

「や、止めろオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」

ばがあぁん!!!!

「「「なニィ!!??」」」

ウィスラーに駆け寄ろうとしたブレイドもそのウィスラーに拳を振り下ろそうとしたヴァンパイアも唐突な出来事にその動きを止める、突然ブレイドとウィスラーの間の地点の天井が崩れ、大量の瓦礫が振って来たのだ、そしてその瓦礫の山の上に佇む女性らしき影が一つ・・・

「( ⌒▽⌒)ノヤァ」

一瞬空気が止まる、其れはそうだ、修羅場とも言える状況なのにその女性は久々に旧友に会った様な様子でブレイドに手を上げて挨拶して来たのだ、顔に満面の笑顔を湛えて・・・

「な、何なんだ手前は!!??」

一番最初に硬直が解けたのは意外にもヴァンパイアのボスだった、しかしその女性は其れに答える事無くブレイドに話かける

「ブレイド久しぶり〜(≧▽≦)キュー、最後に会ったのはメキシコで集団発生したグールを一網打尽にした時だったかな〜?」

話かけられ、やっと動き始めたブレイド

「こ・・・」

「こ?」

何とか言葉を振り絞るブレイドに状況も忘れて突っ込むウィスラー、しかし次に叫んだブレイドの言葉でその場にいる全員がそれぞれ別な意味で凍りつく事となる、ヴァンパイは達は恐怖と畏怖で、ウィスラーは驚愕に・・・

「琥珀姐さん!!何で此処に!!??」

「こ、琥珀うぅぅぅぅ!!!!!!!!????」

琥珀・・・其れはヴァンパイア達にとっては恐怖、消滅と同義である無敵と言っても良い戦闘力を誇るヴァンパイアハンターである、外見こそは可憐と言っても良い美少女だがその能力はランクAのブレイドすら足元に及ばないレベルに達し、国連からはハンターレベル「F」を得ている唯一の存在なのだ

「ク、クソッ!!何でその伝説のハンターがこんな所にいるんだよ!!と、兎に角・・・」

そう叫ぶとボスは固まっていた拳をウィスラーに・・・

「ダメだよ〜」

ぶしっ・・・

「い、イギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!????????オ、俺の手が、手がああああああああああ!!!!!!!!!!!」

届かなかった、突如琥珀の着物の袖から飛び出した鎖付のブレードによって肘から下が斬り飛ばされたのだ

「ブレイドの相棒だからね〜、殺させないのだ〜」

そう言うと鎖を引き戻すときにブレードをウィスラーを縛り付けている縄に掠らせ、切断する

「ほらほら〜、ブレイドも固まってないでさっさと攻撃するのだ〜」

そう言うと琥珀自身もフッと飛び上がるとウィスラーの前に着地し、彼を背中に庇いながら腕から数々の暗器を飛ばし、ヴァンパイアの頭部を吹き飛ばし、心臓を串刺しにし始めた、其れを合図に生き残ったヴァンパイア達もブレイド達に襲い掛かって来る

「・・・ヘッ・・・姐さんが何で此処にいるかは知らないが・・・」

拾い上げた剣を其の侭後ろに向かって振りかぶり、接近していたヴァンパイアの上半身に下半身に対して永遠の別れを告げさせる

「此れで勝ったも同然だぜ!!!」

更に寄って来た一人を立ち上がりざまに兜割りに斬って捨て、下げた剣先を上げ、水平に構えて突進し次の獲物の心臓を串刺しにする・・・

先ほどまでは優勢だったヴァンパイア達は抵抗の甲斐なく一人、また一人と灰に還って行く・・・

「じょ、冗談じゃねえ・・・ブレイドなら兎も角琥珀まで!!??・・・此処は一度引いて体勢を立て直すか・・・」

ヴァンパイアのボスである彼はそう呟くとそっと壁の一部分を押した、すると音も無く壁の一部がせり上がり、その奥に階段が見える、安心した顔付きで無くなった片腕を抑えつつ彼は階段に足をかける、と

「まあそう言わず未だゆっくりして行け・・・」

ずぶり

「がはぁ!!??」

後ろからかかった声と共に彼の心臓に後ろから細身のナイフが刺さる、激痛に耐えながら振り向く視界には

「う、うぃすらぁ・・・きさまぁ・・・」

先ほど琥珀によって解放されたウィスラーが彼の逃亡に気付き、ナイフを拾って後ろから襲ったのだ

「この薄暗い地下室で・・・永遠にな・・・」

そう呟くとウィスラーはナイフの刃を捻りながら引き抜く

「っがっ!!??」

其れが彼の最後の言葉、さながら燃え尽きる前の火のついた紙のように紅く、煙を上げながら彼は灰になった、そしてその灰ですらも何処からとも無く拭く風邪に拭かれ、空中に散って行く・・・

「そう言やあ・・・」

ナイフを捨て、壁に寄り掛かりながらウィスラーは呟いた

「こいつ・・・名前も名乗らずに還りやがった・・・」

そしてヴァンパイアを掃討し終えたブレイド達が近づいて来るのを横目に見ながら最後に一言

「まぁ・・・良いか・・・」

 

 

 

 

〜30分後〜

 

 

 

 

「日本ん〜〜〜〜〜〜〜!!??」

「そ、何か大きな仕事が入りそうだからさ〜、一緒にどう♪」

あれからブレイドのアジトへと戻り、ウィスラーの治療を終えたブレイドに琥珀はこう切り出す

「い、行き成り日本かよ・・・未だアメリカ近辺でしか働いた事ねえし・・・第一俺達日本語できねえよ!!」

慌てるブレイドに琥珀は更に言い募る

「ほ〜、断るのですか、二年前にメキシコでも助けて上げたこの琥珀ちゃんの頼みを断るのですか〜」

「う、うぐっ!!」

確かに二年前、数千単位で発生したグール殲滅の為、ブレイドは大掃討作戦に他、数十人のハンターと共に参加した、しかし敵はグールだけではなかったのだ

「あいつさえ・・・あいつさえいなけりゃ・・・」

そう、その場に忽然と現れた一人のヴァンパイアによって戦況は坂道を転げ落ちるようにハンター側不利へと傾いた

ハンターもブレイドを残してほぼ全滅、その彼もかなりの手傷を負い、もうダメかと思われた瞬間、突然現れた琥珀によって助けられたのだ

「でも助けられたのは事実だからね〜」

「うう・・・」

「でもさ〜、悪い事ばかりじゃないよ〜?」

「え?」

頭を抱えるブレイドに、琥珀は一言だけ呟く

「ツェペルも行くらしいよ〜日本♪」

「!!!」

この一言にブレイドは反応した

「ほ、本当なのか姐さん!!本当に奴が!!」

あいつが・・・

自分を道端に落ちている石を見るような視線で眺めたあいつが・・・

日本に・・・来る!!

「間違い無いよ〜(≧▽≦)キュー」

そう言って微笑む琥珀にブレイドは首を遂に縦に振った

「分かったぜ姐さん、俺も日本に行こう、取り敢えずウィスラーの怪我が完全に治って「ああもう治ったよ」から・・・へ?」

間抜けな声を出す彼に琥珀はもう一度言う

「だから、もう彼の傷は治ったの、だからもう一緒に行っても大丈夫なのだ〜」

「で、でも姐さん、あいつの傷は打撲だけじゃなくて肋骨も数本折れて確か脚の骨にも皹が・・・」

「の、筈だったんだけどなあ・・・治っちまったんだよ此れが・・・」

「ウィスラー!!」

突然かけられた声のほうを向くとニヤニヤ笑ってるウィスラーが立っていた、確かに顔色も良く、以前から痛めている足以外は何とも無いようで以前と同じように歩いて近づいて来る

「ど、どうやって?」

「さあ?俺にも分からん、ただ琥珀の姐さんが手をかざした途端に全身の痛みが引いて・・・完全回復って寸法だったけどな」

「(≧▽≦)キュー」

「姐さん・・・一体どうやって・・・」

「そんな細かい事は気にしない〜、さあブレイド!!ウィスラー!!日本へ向かって出発だ〜♪」

それだけ言い残すと琥珀はさっさと自分だけ部屋から出ようとする

「ち、一寸姐さん!!準備が未だ済んでねえ!!」

ブレイドは叫ぶとあたふたと荷物を纏め始め、ウィスラーは知り合いに電話をかけ、今すぐ日本に渡れる飛行機のチケットを抑えて貰う、無論三人分だ

「やれやれ・・・今回の戦いは大げさな物になりそうだぜ・・・」

それだけ呟いたウィスラー、だがその呟きは決して間違ったものでは無い・・・そう・・・決して・・・

 

 

 

 

続く・・・

 

 


後書き?

 

どうも、【ラグナロック】’です、此の頃紅きばかり更新している気がするな〜と思う今日此の頃です。

今回から登場です、オリキャラ(モデルあり)である琥珀姐さんと某ヴァンパイアハンター映画の主役であるブレイドとウィスラーコンビ!!

この紅きを書き始めていた時からブレイドは出したいキャラでした、何と言ってもハーフなので海を渡っても大丈夫!!(多分)、中々強いし何とかこの陣営の中でもやっていけると思ったからです。

取り敢えず今回登場の琥珀姐さんの設定を此処に

 

 

名前:琥珀(本名不明)

 

国籍:日本

 

外見:FF]のユウナ

 

アイカラー:左、エメラルドグリーン/右、サファイアブルー(感情が高ぶると琥珀色の様な濃い金色に)

 

性格:複雑怪奇

 

職業:NHに登録するヴァンパイアハンター、ランクはレベルF(クラスのレベルは1〜12、A、S、Fとなる、つまりFが最高ランク)

 

服装:和服、デザインはユウナの物

 

戦闘方法:基本は体術、弓術、剣術、後は袖から出す暗器の数々(分銅、扇子、等)

 

武器:聖刀『神威』(刀身が蒼く透き通った刀、青天から落ちて来た星を鍛えて作った刀とされる)

魔弓『紅玉』(弓から弦まで紅い素材で出来た弓、矢は必要無く、弦を引くと紅い光の矢が出現する、素材には、異界の魔王の体を使ったとも言われている)

 

能力:『大地褒賞』(大地の力を利用した重力操作、他にも大地の気を利用して超回復なども見せるが詳細は不明)

 

口癖:「(≧▽≦)キュー」

 

備考:戦闘中も笑みを絶やさず(怖い・・・)戦い続ける、彼女の戦闘の後にはなにも残らず、ついた二つ名は『破壊の舞踊家』、これは其の戦う姿が舞を舞っているように錯覚されるほど美しい物であるからだ、其の割には後が凄い事になるが・・・、シンジ達とはたまに共同戦線を張る事もあるが基本的に一匹狼、其の強さの秘密も、何故其処まで吸血鬼を憎むかも不明。

 

 

こんな所です、因みにモデルは私の良く行く某チャットの参加者の方です、会いたい方はどうぞ来て下さい、楽しい人ですよ。

それでは此処で予告編を

 

「暇だ・・・」

その者は呟く

彼の言葉は絶対

彼の言葉は恐怖

その彼の興味を引くものが現れる、此処、日本に

「面白い・・・此れで当分の間は退屈せずに済みそうだ・・・」

彼の者は来る、絶対の絶望と共に・・・

次回、四つ目の血玉「血宴」

 

 

それではまた・・・何処かの後書きにてお会いしましょう・・・