「さぁて、こっからは、結果発表はちょっとお休みにして、質問疑問コーナーなのようっ!」
「はい。今回のアンケートで募集した疑問や質問に出来るだけお答えするっていう趣旨のコーナーですね」
「でも、さすがに全部は無理だったよ。ごめんなさい」
「なお、以下に出てくる設定は、あくまでも『プール』シリーズの中で、作者が独自に行っている設定で、公式の設定、および他のSS作家さんの設定にはまったく影響を及ぼすところではないことを、ここに明言させていただきます」
「ど、どうしたの、美汐?」
「いえ。一応、言っておかないといけないことですから」
「お断りは大切ですよねっ」
「さて、質問というか、要望で一番多かったのは、これでした。『プール7はやらないのですか?』」
「やらない」
「ま、舞さん、一撃だね……」
「もう決まってることだから」
「うーっ。これからゆっくりじっくりたっぷりと、祐一さんの心にアプローチっていうところだったのに、残念です」
「まぁ、どうせ栞にはこれ以上の進展は望めなかったけど、天野さんが参戦しようかっていうところで終わってるのには、尻切れトンボだっていう声が、とっても多かったわね」
「お姉ちゃん、なにげにひどいですー」
「そっ、それは、これから後はご想像にお任せします、ということで……」
「わぁ、美汐が真っ赤になってるーっ」
「まっ、真琴っ!」
「このまま続けると泥沼化すること間違いなしだから、その前に作者が逃げたんだ、って言われてたりもするんだけどね」
「せっかくの場なんだから、この際相沢くんを本当はどう思ってるのか、本音ってところで聞いてみようかしら。とりあえず他の人からツッコミなし、および追求もなし、ということで」
「佐祐理は賛成ですよ」
「そうですね。無礼講、ということで。それじゃ、まずは名雪からね」
「えっ、わたし? ええっと、祐一のことは大好きだよ。他の娘にも優しいのは、祐一だから仕方ないなって思ってるし、そんなところまで含めて好きになっちゃってるんだから」
「次は私ですね。祐一さんのことはもちろん好きです。でも、正直なところを言えば、名雪さんにはかなわないのかなぁって最近は思い始めてます。これだけ私がアタックしてるのに、祐一さんが私になびいてくれないのって、結局は名雪さんがいるからだし、ふらふらしてるみたいに見える祐一さんを、実はしっかりつなぎ止めてるのかなぁって……。あ、でも、まだ白旗を揚げたわけじゃありませんからねっ」
「え? 真琴? うん、祐一のことは大好きだけど……。ええっと、上手く言えないんだけど、ずっとそばにいてくれたらそれで真琴は嬉しいなって思ってる。それに、名雪のことだって嫌いじゃないから、今のままで真琴は十分だよ。しおしおがまわりでうろうろしてるのはちょっとやだけど」
「次はボクなの? えっとね、ボクは、偽善だって言われるかも知れないけど、祐一くんが名雪さんを選んだんだったら、それを応援するのが、ボクのするべきことなんじゃないかって、そう思ってるよ」
「祐一、嫌いじゃない」
「あはは、舞ったら真っ赤になってる〜。え、佐祐理ですか? 祐一さんは大切なお友達ですよ。それ以上じゃありませんから、名雪さんも安心してくださいね」
「次は私? 一応、この話じゃ唯一の恋人持ちだから、相沢くんのことは、親友の恋人で妹の想っている人だって以上には、特に何とも思ってないわ。むしろ、クラス委員としては、トラブルメーカーの存在は頭の痛いところね。でも、名雪や栞の力にもなってくれたことについては、素直に感謝するわ」
「私は、みんなで仲良く、賑やかに過ごしていければいいなって思っていますよ。ですから、祐一さんが家に来てくれて本当に嬉しいんです。それに、名雪の母親としては、祐一さんが名雪を幸せにしてくれたら、もう言うことはありません。……叔母と甥っ子の危ない関係っていうのも、ちょっと考えたりはしたんですけど、それこそ泥沼ですからやめました」
「おっ、お母さんっ!?」
「名雪、ツッコミは禁止よ。……でも、私でもつっこみたくなる発言でしたね、秋子さん」
「うふふ、冗談ですよ。それじゃ、最後に美汐さん」
「えっ? 私は、その……」
「美汐も、隠しちゃダメなのよう」
「は、はい。多分……、私、祐一さんのことを好きになってしまったんだと思います」
「ええと、結局のところ、相沢くんに対して、濃い薄いは抜きにしても、恋愛感情を持っている人が、名雪、栞ちゃん、真琴ちゃん、川澄先輩、美汐ちゃんの5人と。あとの人も友達として好きだってことね。……相沢くんってすごいわねぇ。フェロモンたれ流してるんじゃないのかしら。
うらやましい」
「い、郁未ちゃん、今なにかぼそっと言わなかった?」
「なんでもないわよ」
「はいはい。それじゃ次に行くわよっ。次はぁ〜っ、と。秋子さん関係の質問、行ってみようかなっ」
「あら、私に質問なのかしら?」
「ええ、結構多いんですよね、秋子さん関係の質問って。中でも、『結局、秋子さんの職業は何なんですか?』っていうのが、一番多かったわ。次が謎ジャム」
「うん、わたしも知らないんだけど、お母さんのお仕事って何なのかな?」
「そうね。もう答えてもいいかしら。わたしの今のお仕事は、天野さんと同じなのよ」
「同じってことは、秋子さんも、実は退魔師なんですか?」
「はい。それも、私とは桁が違うレベルです。数百キロ単位の結界を張って、内部の気候を真夏にしてしまうくらいですから」
「も、もしかして、それって、プール1の最初の話のことですか?」
「そんなにすごいものじゃありませんよ。うふふっ」
「なんていうか、桁が違いすぎて実感できないんだけど?」
「元々は、秋子さんの夫であった方、つまり名雪さんのお父さんにあたる方なのですが、その方が退魔の仕事を行っていたのです。しかし、まだ名雪さんが祐一さんと出逢うよりも前に、とある退魔で生命を落としてしまいました。それ以後、秋子さんがその技を継いで、退魔の仕事を続けてきた、というわけです」
「でも、どうして誰もそれを知らなかったの?」
「理由を話すと長いのですが、簡単に言えば、名雪さんや周りの人に害が及ばないようにするためです。それでなくとも、この仕事は恨みを買いやすいですから。秋子さんがこの仕事をしていると知っているのは、ほんの一握りだけのはずです」
「それじゃ、このあいだのコンテストにいらっしゃった時に、仕事帰りと言っていたのも、本当は……?」
「いえ、本当に仕事帰りだったんですよ。祐一さんには、ちょっと嘘を付いてしまいましたけれど」
「嘘って、早退してきたって言ったこと?」
「ええ。普通のお仕事なら、そんなに早くは終わりませんから」
「それじゃ、温泉事件のときに、悪役の人たちが「あいつは死んだはず」とか言ってたのは、その秋子さんの旦那さんのことだったんですね」
「もう、昔のことですから」
「そうですね。私もしゃべりすぎました。すみません」
「いえ、いいのよ。気にしなくても」
「でも、失礼ですけど、それだけで家計を維持できるんですか? 名雪だけの頃はまだしも、今は相沢くんに加えてあゆちゃんや真琴ちゃんまでいるのに……」
「ここだけの話ですけど、この仕事って結構実入りがいいんですよ。もっとも、それだけ危険も伴いますけど。例えて言うなら、マグロ漁船でしょうか」
「3ヶ月働いて、あとの9ヶ月は陸で遊んでいるっていうあれですか。なるほど、納得しました」
「素人の皆さんは、絶対に真似しないでくださいね。うふふっ」
「それじゃ次にいこうよ。えっと……。あ、これなんかどうかな?」
「どれどれっ? 真琴に読ませなさいようっ」
「うぐぅっ!」
「えへへっ、もらったぁ。ええっと……、『香里が使ってた不可視の力とやらは、いったい何ですか?』だって、かおりん」
「かおりんって呼ばないでよね。それについては天沢さんの方が詳しいと思うけど」
「そりゃあたしは詳しいけど……。説明しておくと、『不可視の力』っていうのは、あたしが主役のゲーム、Moon.で登場する、川澄先輩の“ちから”と似た超能力のことよ。詳しくはゲームをやってみてね。今なら廉価版も出てることだし」
「でも、内容に暴力的シーンが多いので、素人にはお勧めできない」
「それで、どうしてその『不可視の力』を美坂先輩が使えるのですか?」
「……もう、忘れたわ」
「あたしも、あんまりあのことは思い出したくないし。ま、想像にお任せしますってことにしといた方が平和よ、きっと」
「それじゃ、次にいくよ。ええっと、これだね。『祐一の母親は、結局祐一と名雪の仲を認めたんですか?』 これは……、秋子さんに聞くのが一番かな?」
「そうですね。まだ認めていないと思います」
「お母さん、ほんと?」
「ええ。姉さんって、ああ見えて割と頑固ですから」
「うーっ、でもわたしだって、祐一のこと好きだもん」
「うふふっ、その調子よ、名雪」
「それじゃ、次は私が……。えいっ、これです。『プール6Episode46で、名雪はなぜ元気がなかったんですか?』 えっと、名雪さん?」
「……くー」
「わ、名雪さん、寝ちゃってるよ」
「違うわよ。これは、寝たふりをしてごまかそうとしている顔ね」
「うーっ、香里、変なこと言わないで」
「それで、どうしてだったんですか?」
「えっと、えっと……」
「あ、もしかして、あのときのこと?」
「わわっ! 郁未ちゃん、言ったらだめっ!」
「もがもがっ」
「すっごく、気になりますねー。……お姉ちゃん」
「はいはい」(がしっ)
「わ、香里っ! いきなり羽交い締めにしないでよっ!」
「ごめんね名雪。栞のために黙ってて」
「で、天沢先輩がご存じなんですか」
「まぁね。実はね、名雪、あのとき告白されたのよ」
「えーっ!? 誰にですかっ!?」
「うぐぅ、ボク知らなかったよ……」
「名雪もなかなかやるわねっ」
「真琴、あまりこういうときには、茶化すものではありません」
「そうよ、真琴」
「あう、ごめんなさい……」
「その告った相手は、陸上部の2年生だったんだけどね。『僕なら相沢先輩みたいな浮気者よりも水瀬先輩を幸せにしてみせますっ』なんて大見得切って、名雪に平手打ちくらって玉砕したのよね」
「陸上部の2年生ですか? 私がそれを知ってたら、もう少しちゃんとお膳立てしてあげたのに。残念です」
「栞ちゃん、そういうこと言ってるから、あんなことになるんじゃないかとボクは思うよ」
「うっ……。ええっと、今のは冗談ですからねっ」
「まぁ、いくら万年寝ぼけた猫好き天然娘でも、告白してきた相手を平手打ちしてそのまま走り去ってたりすれば、そりゃ多少元気もなくなるってものよね」
「うーっ、もう郁未ちゃん嫌い〜」
「まぁ、彼に関してはもう問題はないわけだし。うふふっ」
「なぜそこで天沢先輩が嬉しそうに笑うのか興味深いですけど、あまり深くつっこむと後が怖そうなのでやめておきますね」
「ちぇ」